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一 夢 庵 風 流 日 記

年金

  あまり話題に上らないが、地道に年金を斬ってみることとする。
  本日は今までの年金制度について、後編はマニフェスト比較としたい。

  年金の種類と加入者は

  国民年金・・・自営業者、学生など
  厚生年金・・・サラリーマンおよび配偶者
  共済年金・・・公務員および配偶者      となる。

  「国民年金」という意味の曖昧さについて、指摘しておきたい。
  昭和61年にそれまで別々であった『国民年金』と『厚生年金』と『共済年金』が一部分一体化され
  「国民年金」は各年金の基礎的年金(これがよく言われる一階部分)の意味としても用いられることになった。
  
  したがって、「厚生年金+国民年金」「共済組合+国民年金」といったように、
  国民年金に上乗せして加入している状態となっていることを認識しておかねばならない。

  言い方を変え、特に「厚生年金+基礎年金」「共済組合+基礎年金」という言い方をすることもある。

  国民年金以外の加入者には年金番号が2種類あることも、年金制度の複雑性を表している。

   ・厚生年金番号
   ・基礎年金番号

  国民年金=国民年金(加入者は「第一号被保険者」といわれる)+国民年金基金
  厚生年金=国民年金(基礎年金)(加入者は「第二号被保険者」といわれる)+厚生年金
  共済年金=国民年金(基礎年金)(加入者は「第二号被保険者」といわれる)+共済年金
  第三号被保険者=厚生年金または共済年金の配偶者(保険料納付義務無し)。国民年金(基礎年金)支給対象。

  まずここまで読んで、ほとんどの人がその複雑性に辟易したのではないか?

  分かりやすければそれで良いというものではないが、これが年金制度であり、敗戦後生まれた世代が払うだけ払って、
  いざ貰う年齢に達したら崩壊しているなどと言い、コロコロ制度を変えている実態なのだ。
  そしてこの地道に払い続けた国民の年金を、社会保険庁は大箱施設をつくり焦げ付かせパーにしてしまったのだ。

  ところで、国民年金(基礎年金)は、社会保険庁が管理しているので統計データーは把握しやすいが、
  共済年金は国家公務員、地方公務員、私立学校など個別などで把握しにくい。

   国民年金(基礎年金)=社会保険庁所管
   第1号被保険者(個人業主、学生など) 2,240万人
   第2号被保険者(サラリーマン、公務員など) 3,683万人
   第3号被保険者(専業主婦) 1,109万人

  以上が年金の共通部分(一階)に加入している(させられている)人の数。
  次は二階建て部分の加入している(させられている)人の数を見てみよう。

   第1号被保険者の二階(国民年金基金) 77万人(少ない)
   第2号被保険者の二階(厚生年金) 3,214万人
   第2号被保険者の二階(共済年金) 471万人(公務員の数+私学関係者の数)

  ちなみに基礎年金は国民年金と同額なので月額6万円程度の支給。

  サラリーマンは明細書には「厚生年金」としか書いてないと思われる、
  これは年金の二階建て構造というのは、あくまで概念的なもので、
  年金の「種類」としては、あくまで「厚生年金」という呼称になるからだ。

  では一番心配な年金は支給されるのか?

  その前に年金支給額は年度毎によって多少の違いがある、これは物価指数によるからだ。
  インフレなら上昇、デフレなら下降と思ってくれてよいであろう。
  さらに詳しく数字だけを知りたいなら社保庁のHPを眺めてみるのもよいだろう、
  誤魔化しが多いことはここで述べているので眺めるだけでいいと思う。

  ここで過去と現在の年金に対しての考え方の違いを書いておこう。

  過去「年金は保険なのだから、払えば貰える。国家が補償しており支給年齢が来れば必ず支払われるものだ。」

  現在「年金は相互扶助と認識して貰いたい、つまり若者の年金積み立ては現在支給されている人のための
  扶助費なのだ。自分が支給されるようになる年齢に達すれば、これの循環。」

  この曖昧さを見ても、もう破綻は目に見えているのだ、年金保険だから確かに預けた保険が
  焦げ付いて貰えないと言われても仕方ないという解釈もあろうが国家が保障出来そうも無いなんて、
  これは国家=国民の関係を大きく揺るがすものと考えられるのではないか?

  そこでこれからどうするんだ? 一体財源をどこに求めるんだ?
  次回以降マニフェストを見ながら、考えようと思う。


  今回は政権政党を選択する選挙なので、問題点を指摘するだけに留めたい。

   ーーーーーーーー自民、公明、民主の年金マニフェスト概要ーーーーーーーー

   <自民党>
  昨年の第159回国会で、年金改革関連法案を提出し、成立。この法案で、厚生年金の保険料率は13.58%が、
  毎年0.354%ずつ引き上げられ、平成29年度には18.3%になることが決定。
  同様に国民年金の保険料は、13300円が毎年280円(平成16年度価格)ずつ引き上げられて、
  平成29年には16900円(平成16年度価格)になる予定。
  国民皆年金を堅持するため、基礎年金の国庫負担割合を現状の3分の1から、2分の1に引き上げる考え。
  さらに公務員を含めたサラリーマンの年金制度の一元化を推進し、いわゆる官民格差を是正。
  あわせてパートやアルバイトなど非正規労働者も、厚生年金に加入できるよう法改正を目指すことで、
  年金への信頼と安心をいっそう強化したい考え。 
  社会保険庁については、事実上廃止し、新たな政府組織に公的年金の運営を担わせるとしている。

   <公明党>
  5年ごとに、保険料負担と給付水準の見直しを行っている年金制度。
  昨年の第159回国会でも、年金改革関連法案が提出され成立。
  このときの政府案は、公明党が掲げていた「年金100年安心プラン」をベースに作成されたもの。
  この法案に沿って、4月からすでに国民年金保険料が月額280円値上がり。
  したがって、年金制度の根幹である「負担」と「給付」の抜本的改革はすでに実現されたというのが、
  公明党の認識。今後は、いまだに続く年金制度への国民の不安を一掃するため、
  現行制度への理解を徹底していくことが目標になる。

  また、新たな年金制度改革案もあり、厚生年金と共済年金の一元化、女性の年金権の確立ならびに
  厚生年金・共済年金の個人単位化などを主張している。
  優遇されすぎだ、と批判の強い「議員年金制度」については廃止し、最終的には
  公的年金制度との統合を目指すとしている。当面は、国庫負担を70%から50%に減額し、
  議員が受け取る年金は33%減らし、既裁定者の給付額を10%減額する方針。

   <民主党>
  「公平・透明・持続可能な」年金制度をつくるための抜本改革を行う。08年度までに、
  サラリーマン、自営業、公務員などの職業によらず、また正社員であってもパート・アルバイトでも、
  全ての人が同じ年金制度に加入する「一元化」を実施する。
  これによって「所得が同じなら、同じ保険料」「同じ保険料納付額なら、同じ年金給付額」という
  公平で透明な制度になるとしている。

  また、転職をしたときに年金の加入手続きを改めて行う必要がなくなるので、
  未納や未加入の心配がなくなるとしている。現行だと将来18.3%まで上げる保険料率を、
  民主党は15%以内に抑えるとしている。

  また、現役時代の所得が少なく、結果として年金の受給額が少ない人のために「最低保障年金」を提案している。
  これは、月額1万円、2万円といった極めて少ない年金しか貰えない人に対して、
  税金を財源に一定額(月額7万円)を保障するもの。これによって、この財源を確保するため
  「年金目的消費税」の創設を提案。税率は3%(現在の5%と合わせて8%)としている。

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


  前回話した複雑化した年金制度を一元化すると言い切っているのは民主党だけである、
  まあどの党も一元化はせねばならんとわかっているからいいか。

  自民の問題は年金保険料は明確に上昇させ具体的な数字も出すのだが、年金給付額は触れていないことだ、
  果たして10年後20年後、どうやって年金を供出するのか?税源を充てるのか?
  さらに社保庁は廃止と言い切れないのか?
  公明も似たようなものだ、選挙後も自公連立なのでどっちもどっち。

  民主党は消費税を最低保障年金に充てるということだが、これは一番の問題である未納率を高めることになる。
  なぜならまったく払わない人も、最低保障年金を補う消費税は払っているのだから
  必ずもらえる権利を有するわけだ、これって真面目に払っている人からすれば納得できないのではないか? 
  未納率を抑えるために納税者番号制を取り入れて何とかすると言っているが強制徴収を行うのか?
  でもパートやアルバイトの人々は年収200万以下だ、
  この割合がほとんどを占めている、払わなくてももらえるなら払わないだろうよ。

  実はここに雇用という一番重要な問題が隠されていると感じる。
  正社員の激減、契約・派遣社員やアルバイトの驚くほどの増加、
  会社が厚生年金に入らないのだから増え続ける低所得者には大変なことなのだ。

  与党は政権政党なので、どうしても現実に即した案となる(だから曖昧に隠す部分もある)、
  野党は与党追求または理想案となる(ゆえに矛盾やカッコイイ言葉が並ぶことがある)、これは仕方ないことだ。


   (年金問題に対する個人的意見)
  基礎年金(月額6~7万くらい)に対する未納率は4割といわれている。
  若年層と低所得者がほとんどなのだが、この人々に月額15000円前後の金額を払わせることは厳しいのだ、
  だからといって放っておいて良い問題ではない、はっきり言えばこの年金制度は崩壊している。

  少子高齢化が原因とか言っている評論家もいるが、ありえない。

  先進国はどこも少子高齢化の問題にぶち当たっている、
  元々そういう事象を含んで政策を決めていかなくてはならない、
  社会保険なのだから基本的には国が責任を持って保険を運用し支払額を確保せねばならない、
  そこまで言うと酷だが、せめて社会保険庁の無能っぷりをオンブズマン制度で摘発し、
  国民に真摯にデータを公表すべきであろう。
  そして国民も知らなかったなんて言い訳は出来ない、
  我が国に住んでいる以上は自分たちで勉強し、責任を感じることも必要なのだ。

  ここまでは過去の反省と確認、でも現在は進んでいる未来に向かって進んでいる。
  ではこれからどうすべきか?それはマニフェストを見て判断するしかない。

  これ以上は特定政党を応援または貶めることになるので、止めておこう。

  今週末の衆議院選挙、行くことは当然である。
  ボイコットは許されない、選択政党がないならば白紙投票をすべきだ、家に居て遊びに行って
  ニヒリズムを気取っている人ほど、どうしようもない人はいない。


     (05.9.4と9.7の日記から転載)



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